こんにちは!卯月銀河(@gingacamera)です。
【マグネティック・テープ・アラート】という言葉はご存知でしょうか。
これはユネスコ(国連教育科学文化機関)が発表した磁気テープに関する警告のことになります。
今回はこの【マグネティック・テープ・アラート】について解説していきたいと思います。
マグネティック・テープ・アラートは写真や動画を扱う人にとってはかなり大切なことだと思うのでぜひ皆様チェックしていただければと思います。
結論、デジタル化サービスを活用して、未来に磁気テープのデータを残していこう!
マグネティック・テープ・アラートとは
2021年10月16日(土曜日)に国立映画アーカイブ本館にて開催された、緊急フォーラム「マグネティック・テープ・アラート: 膨大な磁気テープの映画遺産を失う前にできること」という「世界視聴覚遺産の日」(10月27日)の特別イベントして企画されたものです。
これはユネスコ(国連教育科学文化機関)が発表した磁気テープに関する警告がきっかけで行われたイベントにもなります。
磁気テープとは簡単に言うと、家庭用だとビデオテープ(VHS)やカセットテープなどになります。
業務用だと映画のフィルムなども含まれます。
内容を要約すると、2025年までに磁気テープをデジタルファイル化しなければ、永遠にデータが失われかねない、といった内容です。
なぜ永遠にデータが失われてしまうのか
イベント中で講師であるミヒャエル・レーベンシュタインさんがいくつか重要なことを話しています。
- 磁気テープや再生機器の生産や保守サービスが終了してしまう
- テープや再生機器がベタつきやカビの発生などで劣化が進み再生が困難になる
- 磁気テープや再生機器の技術者が高齢化してノウハウの継承が難しい
- 保存やメンテナンスの設備・作業のためのコストに莫大な費用が必要
- 個人で撮影した映像が保存が後回しにされがち
このようにただ磁気テープが失われる、ではなくいくつもの理由が重なり世界に無数にある磁気テープが失われる、使用できなくなっていくと伝えています。
更にこれらのデジタル化に関しては個人や企業だけで動くことは非常に難しく、国の公的機関も巻き込んだプロジェクトに行っていかなければならないと提言されています。
それだけ磁気テープに関する危機が迫っているということです。
(※参考:【ビデオレクチャー】「Deadline 2025について」(「[緊急フォーラム] マグネティック・テープ・アラート: 膨大な磁気テープの映画遺産を失う前にできること」にて上映))
ビデオテープ(VHS)の対応年数(寿命)について
おそらく磁気テープの中でもビデオテープ(VHS)が一番身近ではないかなと思います。
このビデオテープ(VHS)の対応年数(寿命)は20年や30年と言われています。
経年劣化が進むことで使用できなくなるのですが、10年頃からおおよそ10~20%ずつ劣化が進み、30年を経過する頃には使用できなくなると言われています。
データが劣化するのではなく、そもそもの物理的な磁気テープの劣化があるため、対応年数があるという感じです。
※ただこれは保管状況にも左右されるため、あくまで目安ということは覚えておきましょう。
マグネティック・テープ・アラートはそうした磁気テープの劣化が進み、完全に手の終えないことになる前にデジタル化を進めるように警鐘するものとなっています。
過去には無声映画がテープの劣化により失われてしまった例も数多くあります。
そうした失われた作品はもう取り戻すことはできません。
それは企業だけではなく個人でも同じです。
大切な録画、思い出の撮影なんかも同じように磁気テープであれば劣化してしまいます。
劣化をして再生できなくなる前に磁気テープのデジタル化を進める必要がありそうです。
ビデオテープ(VHS)の再生機器は
日本国内での再生機器は全機種がフナイ(船井電機株式会社)が晩年では生産していました。
ですが、2016年7月末には部品の調達が困難となったため、全機種生産終了となりました。
家電量販店やインターネットショップでもあまり見かける機会が減ってきているので、薄々もう作っていないというのはお気づきの方もおられると思います。
中古ショップなどでも見かける率はどんどん落ちてきていると思います。
DVDやBlu-rayの代等もあるとは思いますが、単純に需要がなくなったり製品として使えなくなってきているからだと言うのは感じ取れます。
磁気テープがもし無事であったとしても、再生機器がなければ再生して視聴することはできません。
こういった観点からも磁気テープのデジタル化保存は進めて行く必要があると感じます。
磁気テープをデジタル化するためには
では具体的にどのようにして磁気テープをデジタル化すればいいのかです。
個人でできないこともないです。
ただそのためには必要な機材を購入しないといけない点や手間がかかってしまう点などがあります。
そこでおすすめしたいのが、デジタル化サービスを活用することです。
具体的にはまんてん録やカメラのキタムラといった既存のお店で行っているサービスを活用することです。
特にまんてん録は磁気テープ以外の写真やアルバムなんかもデジタル化をしています。
まんてん録はデジタル化を主軸としてサービスの展開をしているので安心してサービスを利用できると言うのもポイントが高いです。
まんてん録については別で記事にもしているのチェックしてみてください。
フィルム一眼カメラなどで撮影した写真への影響は
今回取り上げたのは磁気テープに関してですが、フィルムカメラやフィルム一眼レフカメラでも同じようなことが今後起こってくるのではないかと思います。
今でもフィルムの取り扱いは徐々に減ってきていて、更に購入する場合のフィルムの値段もかなり高騰しています。
写真もデジタル化への道が進み、フィルム需要が減ってきたからだと思います。
このような理由からそもそもの生産や保守サービスが終了に向かっていくことは避けられない可能性はあります。
さらにフィルムやプリントアウトした写真も日にあたったり経年劣化だったりと劣化していく要素は複数あります。
デジタル状態で残っているものであればプリントアウトし直すという方法もありますが、デジタル化されていなかったり、ネガからプリントアウトしたものだとネガがだめになってしまえば再度プリントアウトすることも困難になってしまいます。
マグネティック・テープ・アラートは物理的なものには対応期間があるといことを教えてくれたので、フィルムカメラで撮影した写真についてもぜひこの機会にデジタル化を検討していきたいところです。
2025年に起きるマグネティック・テープ・アラートをどう思うか:卯月銀河視点
個人的にはマグネティック・テープ・アラートを知れたことは幸運だったと感じています。
記述している通り、2025年に磁気テープの危機が訪れるというのは世界中で起きる出来事です。
もしこの問題を知らなければ自分たちが過去に録画していたものや撮影していたものが失われるかも知れないと考えるとあまりにも悲しいです。
ですが今このタイミングでマグネティック・テープ・アラートを知れたことでまだまだ対策を打つ余地はあります。
更に前述で記載した通り、個人的にはフィルムで撮影した写真も今後同じ様になっていくのではないかと危惧しています。
ですが今回デジタル化に関して学ぶことができたのでその点はやはり幸運だったなと感じています。
今から動くことで今後起こるかもしれない危機への対策が可能なので。
この記事を見た方もぜひ自分の思い出のため、家族の思い出のためにもデジタル化を進める舵を取ってみてください。
後悔してからでは本当に遅い問題です。
どうしようと揺らいだこの瞬間、ぜひデジタル化を進めてみてみましょう!
新機種発売や新SNSサービス開始など、フィルムに関する明るいニュースも
今回マグネティック・テープ・アラートという少し暗めの話題でしたが、フィルムの世界が暗い道だけをたどっているかと言われればそんな事はありません。
例えば、filmbiyori(フィルム日和)というフィルムに特化したSNSサービスが開始されたのも2024年になってからです。
さらに2024年7月にはRICOHからフィルムカメラの新機種「PENTAX 17」の発売もありました。
このようにフィルムカメラの世界もまだまだ活発に活動しており、明るいニュースも多数存在します。
ただマグネティック・テープ・アラートのように向き合っていかなければいけないニュースもあるのでその点を抑えながら、フィルムの世界を楽しんでいければ良いのかなと思います。
まとめ:デジタル化サービスを活用し、未来に磁気テープのデータを残していこう
今回はユネスコ(国連教育科学文化機関)が発表した2025年問題である【マグネティック・テープ・アラート】に付いて解説してきました。
マグネティック・テープ・アラートは世界中で起こる磁気テープが永遠に失われるかも知れない大変な危機で、それは自分の身近でも起こる出来事です。
写真や動画の撮影を行っていればいつかこのようなデータが使用できなくなるという場面に直面してしまいます。
特に現代のようなデータだけではなく、物理的な写真やテープを使用していた時代を生きてきた人間にとっては大問題です。
マグネティック・テープ・アラートはその序章かも知れません。
これをきっかけに写真やビデオテープのデジタル化を進めていきましょう。
個人的にはまんてん録でのデジタル化がおすすめです。
まんてん録ではビデオテープやカセットテープの他に写真やアルバム、プリクラなんかもデジタル化をすることが可能です。
まんてん録に関しては別の記事にもしているのでぜひご覧ください。
写真や映像のデジタル化をいち早く進めて大切なデータを守っていきましょう。
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